イギリスで妊娠〜出産の記録 (1)NHSとプライベート比較

私はロンドンで第一子を妊娠、出産しました。イギリスでの出産は日本と勝手が違うとも聞きますが、日本での出産を経験していない私にとっては何がどうあるべきなのか全く分からず不安もありました。でもなんとかなりましたので、ちょっとした体験談を書いていきます。

Red Bookと呼ばれるイギリス版の母子手帳。病院でもらえる。

NHSとプライベート病院、どっちで産んだ?

結論から書いてしまいますが、私はプライベートでの出産を選びました。プライベートでは検診から出産・入院のサポート体制も素晴らしかったし、病院も綺麗だし、食事も美味しいし、とても安心感がありました。ただし費用は半端なく高いです。病院やパッケージにより幅がありますが、検診から出産までざっくり£8,000-20,000。入院個室費用は別途一泊£1,300。ハイリスクの妊婦さんや帝王切開も別料金が加算されます。一方、NHSは基本全て無料なので受けられるサービスも最低限と覚悟しといた方が後々ガッカリしない思います。例えばエコーは2回だけ(12週と20週)。もちろん懸念事項があれば追加検査やフォローはしっかりしてくれるらしいですが、私の周囲でNHSで産んだ人の話を聞くと、概ね半数が満足、半数が何らの不満ありといった印象です。

私はロンドンのNHSの病院で不妊治療をして子供を授かりました(不妊治療の話も後日ブログでご紹介しようと思います)。そのため、妊娠が発覚してからもしばらくはNHSで妊婦検診を受けていました。費用はかからないし対応にも不満はなかったので、このままNHSで出産してもいいかなと考えてたり、でもNHSは出産後に日帰りさせられると聞き、やっぱりプライベートの病院の方がいいかなと迷ったりしていました。そんな矢先にNHSの対応に大きな不満を感じることがありました。それは妊娠20週目に感染症の検査をしたところ、陽性判定が出たのですがその結果を知らされたのが2週間後。その時ナースに「感染症を治療しないと最悪のケース流産を引き起こすのよ」と言われ、じゃあなぜ2週間も放置したの?と怒りが込み上げてきました。途端にNHSに対する信用を失い、迷いは吹っ飛び、プライベートの病院で産もうと決心しました。妊娠22週目頃から、The Portland Hospital(ポートランドホスピタル)というプライベート病院に通い始めました。そこでエコーなどの妊婦健診に通い、出産・入院をしました。32週目頃まではNHSの検診も並行して通っていましたが、あくまで予備的な位置付けで、何か不安があったらPortland Hospital又は日系の病院にかかるようにしました。

NHSとプライベート病院の違い

それぞれどう違うのか、設備、費用、サービス面で具体的なエピソードを書きます。

◆設備

Portland HospitalはPregnancy Open Dayという見学日があり、妊婦さんを対象に院内を見学させてくれるので、病院の清潔さや雰囲気を実際に見ることができます。私は妊娠6ヶ月の時に見学に行きました。全てがピッカピカという訳ではありませんが、NHSよりも綺麗だし快適だと思いました。使用している医療機器はNHSと同等のものだそうで、プラーベートだからと言って機能的に優れた機材を使っているという訳ではないそうです。なお、もし妊娠32週以前の早産となってしまった場合はPortland Hospitalでは対応できないため、NHSに送られそこで出産する言われました。

◆費用

費用面では全て無料のNHSの圧倒的勝利です。ここではプライベートで実際にかかった金額を公開します。2018年当時の料金で端数は丸めてます。

①追加エコー4回と血液検査 £1,500 ②ハーモニーテスト £450(オプション)③医師 £8,500 ④麻酔師 £850 ⑤出産費(帝王切開、1泊分の個室代込み)+延泊料(3泊)£11,700 = ①〜⑤合計 £23,000

ちなみに①エコー4回のうち、3回はPortland Hospitalではない別のプライベート病院(日系)で受けましたが、1回あたりの料金はいずれも£300弱で大差ないので纏めてます。私は出産にリスクがあり妊婦検診も専任の医師についてもらったし、帝王切開だったので低リスクな自然分娩の方よりも多く払ってます。幸いなことに出産費用の補助を受けられたので一部の自己負担で済みましたが、補助なしでこの金額だとしたら恐ろしいです。いや、無理です。やむなくNHSまたは日本で里帰り出産になっていたと思います。

◆サービス

NHSでは妊婦検診の時、予約しているにも関わらず結構待たされました。産後は相部屋で4〜6人部屋らしく、居心地が良くないから一刻も早く家に帰りたくて、日帰り出産でむしろ良かったという話も聞きます。但しNHSでも空きがあれば追加料金£600〜800/泊で個室に入れるそうです。食事のクオリティは病院にもよるみたいですが、味が無かったという人や、思ったより美味しかったという人もいます。あと無痛分娩を希望したのに、出産時に「もう産まれるからそんな時間ない!」とか言われて麻酔してくれなかったという話も聞きました。一方のPortland Hospital は、妊婦健診で待たされることもありましたがNHSよりはマシでした。それ以外のサービスは最高でした。産後は完全個室で、優しい助産婦さんがつきっきりで母乳の飲ませ方を教えてくれたり、母乳が思うように出ない時も色々アドバイスや指導をしてくれました。オムツの変え方や沐浴のやり方も教えてくれました。あと昼頃〜翌朝7時までの間、希望をすれば好きな時間に新生児を預かってくれるのでママは疲れた体を休ませることができます。食事もとても良かったです。メニューが充実していて軽食から魚やステーキ、アフタヌーンティーもあり、全て文句なしの美味しさでした。

選べるディナー。前菜ホタテ、メイン魚、デザートフルーツ。絶品。

産後のサポート体制

産後4泊で退院して自宅に帰り、頼れる家族は夫だけという状況で赤ちゃんをちゃんと育てられるか不安でした。出産前に必要最低限のグッズは買い揃えていたので、あとは自分たちが頑張るだけなのですが、なんだかフワフワした気持ちでした。でもイギリスの自治体もちゃんと赤ちゃんが無事に育てられているかを確認するためサポート制度があります。ちなみにここからはNHSのサービスとなりますので、プライベート・NHSどちらで出産しても同じ扱いです。

1つ目は助産師(Midwife)の自宅訪問です。我が家の場合は退院後3日目に自宅を訪ねてきました(Portland Hospitalが手配してくれました)。本当は退院後48時間以内に来るはずですが、手違いがあったとかで1日遅れでした。助産師が赤ちゃんの体重を測ったり、母体の様子もチェックします。もしここで異常がある場合は病院で検査を受けるように言われます。

2つ目はヘルスビジター(Health Visitor)の自宅訪問です。生後10日目頃にHealth Visitorという肩書きの50代くらいの女性が訪問してきました。彼女の役割は産後の相談役ではあるのですが、同時に家庭内環境に問題がないかもしっかりチェックしているそうです。例えば家の中にお酒の空き瓶が転がってないかや、赤ちゃんを育てる環境が整っているか、パートナーは働いているかなども見ているそうです。助産師ではありませんが母乳のあげ方なども指導してくれます。近所の児童館の情報なども持ってきてくれて地元のコミュニティやママ友と交流を持てるよう励ましてくれました。この2週間後に大丈夫か?悩みはないか?とフォローの電話もありました。更にその1ヶ月後に同じ女性が訪問してきて様子を見にきました。最後に何かあったら電話してねと言われてそれ以降は連絡はありません。

3つ目は健診です。日本では産後1ヶ月健診があるかと思いますが、イギリスでは6週間健診です。日本より2週間遅いですね。Portland Hospitalのパッケージには母親分のみの6週間健診が含まれていましたが、赤ちゃんの分は含まれていなかったのでNHSのGPで予約を取り健診を受けました。予防接種(8週目から)もGPで受けられます。


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